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ふなばし動物医療センター かつまペットクリニック

TPLO
脛骨高平部水平化術
脛骨上端を水平化させ、角度矯正で安定化
TPLO(Tibial Plateau Leveling Osteotomy=脛骨高平部水平化術)とは、脛骨の上部を切離する骨(こつ)切り術で、TTAとともに現在の前十字靱帯断裂手術の主流となっている手術法です。TPLOは、前十字靱帯断裂で前方へ滑り出した脛骨を元の位置に近づけるため、脛骨上端の一部を円周状に切り取り、最上端(高平部)の角度が水平に近づくよう断面カーブに沿わせて後退方向に回転させ、専用プレートを装着して角度矯正を行うことで膝関節の安定化を図ります。
小型犬から大型犬まで幅広く適応できる手術です。
TPLOシステム
構成パーツについて
TPLOシステムは、骨切りした脛骨をつなぐチタニウム合金製のロッキングプレートとスクリューで構成されています(スイスKYON社製)。
  • プレート:解剖学的構造とTPLO理論に基づき、ポイントコンタクトで骨膜や血管へのダメージを最小限に抑えられるよう設計してあります。サイズバリエーションは6種あり、動物の体格に合わせて選べます。
  • スクリュー:プレートの孔に打ち込むスクリューはヘッドが円錐形に切られており(コニカルヘッド)、プレート構造との完全なカップリングで力学的な固定と負荷の分散を実現します。

プレート

プレート裏面

スクリュー
〝動的な安定〟をもたらすTPLO
  • 術前計画
    TPA(脛骨高平角)を計測します
    TPAとは②のラインと③のラインが成す角です。理想の角度は0度(②が水平ライン)~6.5度とされており、その角度内に矯正できるよう術前計画を行います。
    ① 脛骨長軸線
    ③ 脛骨高平線
    ② ①の垂線
    骨切りラインを確定します
    換算表から回転距離を算出し(本症例では6.1mm)、TPLOブレード(半円状のノコギリのような整形外科器具)のサイズを確定します(本症例では12mmが適合)。
    インプラントを選択します
    6種類のサイズバリエーションの中から骨格サイズに合うプレートを選択します。インプラントは2kg台の小型犬から50kg超の大型犬まで適応可です。
  • 術後
    理想の角度に矯正されているかTPAを再び計測
    骨切りを行い、切離した脛骨を計画位置まで回転させ、プレートとスクリューで固定します。
    術後レントゲンでTPAは35度から6.5度まで矯正されていることを確認しました。
    術後の安静期間と骨の結合
    皮膚の縫合で手術は終了となりますが、骨切りした骨同士が結合するまでには通常2か月程度を要します。膝への負荷を減らし、安静に過ごせるよう、運動管理や体重管理が必要となります。
    合併症について
    術後に半月板損傷が起こることがあります。
▼実際の症例紹介も併せてご覧ください
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2023年8月15日 
シベリアンハスキーのTPLO(脛骨高平部骨切り術) >>