船橋市 動物病院 | ふなばし動物医療センター かつまペットクリニック | 整形外科 犬の白内障

ふなばし動物医療センター かつまペットクリニック

THR
人工股関節全置換術
障害部分を取り除き、人工股関節で骨盤を〝再建〟
THR(Total Hip Replacement)とは、障害が生じている股関節を切除し、生体親和性や耐久性に優れた新素材(チタン合金や超高分子量ポリエチレンなど)で成型された人工股関節に置き換える手術です。内科療法ではQOLが保てず、外科の予防的治療法での修復も不可能な場合の救済的治療法となります。人工股関節という器械の力を借りて、痛みの無い関節で体重を支え、安定した歩行を取り戻すことを目的に、股関節形成不全やレッグペルテス(無菌性大腿骨頭壊死症)、骨頭骨折などに適応されます。
THRは人工股関節を体内に埋め込む手術になりますので、適応には条件(身体サイズ、骨格形成終了後)があることに加え、個体適合性による手術の可不可があり、合併症のリスクも一定程度あります。
  • THRの適応は8カ月齢以上の中型犬、大型犬および小型犬です。
  • 大腿骨: 損傷している大腿骨頭を切断し、骨幹にドリルで孔を開けます。
    骨盤: 寛骨臼にカップを設置できるように削ります。
  • ステムの挿入、ヘッドの取付、カップの設置で人工股関節への全置換~股関節の機能を再現~となります。
○利点:術後の機能回復が非常に早い
△欠点:人工関節の個体適合性等により手術の可不可がある、再脱臼、ルースニング、骨折などの合併症のリスク
人工股関節
構成パーツについて
股関節の機能を代替する3つのインプラントパーツを基本に構成されています。体内に入れて生涯使用するものなので、耐久性や安全性を保証できるよう医療用に特殊加工された素材が採用されています。

人工股関節は、寛骨臼(かんこつきゅう)を代替する「カップ」、大腿骨頭を代替する「ヘッド」、その間でクッションの役目を果たしている軟骨を代替する「ライナー」、そして大腿骨を補強する「ステム」を基本に構成されています。
パーツの固定方法について
人工股関節を固定するには2つの方法があります。
①セメント法 〜アクリル樹脂の一種である骨(こつ)セメントで骨に人工股関節を固定します
▼骨セメント
歯科治療から整形外科に応用された接着剤です。術後すぐに固定性が得られます。
▼固定方法
細いくさびのような形をしたステムを大腿骨に挿入し、隙間に骨セメントを注入して固定します。
[セメント法の利点]
  • 骨への適合性が良い
  • 骨折リスクが低い
②セメントレス法 〜骨セメントを用いずに生体の反応を活用して固定していく方法です
▼セメントレス
骨との親和性が高いチタン合金などの金属製ステムの表面に多孔質加工(ザラザラとした微細な空洞)を施し、新陳代謝に伴ってその孔に骨が自然に入り込んでいくことで密着と固定を図る方法です。
▼固定方法
スクリュー(骨ねじ)を打ち込んで安定性を強化する方法が世界標準になっています。
[セメントレス法の利点]
  • インプラントの除去や交換が可能
  • 加重に対する支持と回転力に対する支持が得られる
  • セメント法よりルースニング(経年変化で生じるゆるみ)が起こりにくい
当院では、小型犬にはセメント法の、
中型犬および大型犬にはセメントレス法の
THRに対応しております。
小型犬および猫のためのセメント法THRシステム
BioMedtrix社 CFX [外部リンク]
中型犬および大型犬のためのセメントレスTHRシステム
KYON社 Zurich Cementless Total Hip Prosthesis [外部リンク]
スイス・チューリッヒ大学で開発され、国内で唯一、薬事承認を得ている人工関節システムです。