障害部分を取り除き、人工股関節で骨盤を〝再建〟
THR(Total Hip Replacement)とは、障害が生じている股関節を切除し、生体親和性や耐久性に優れた新素材(チタン合金や超高分子量ポリエチレンなど)で成型された人工股関節に置き換える手術です。内科療法ではQOLが保てず、外科の
予防的治療法での修復も不可能な場合の
救済的治療法となります。人工股関節という器械の力を借りて、痛みの無い関節で体重を支え、安定した歩行を取り戻すことを目的に、
股関節形成不全やレッグペルテス(無菌性大腿骨頭壊死症)、骨頭骨折などに適応されます。
THRは人工股関節を体内に埋め込む手術になりますので、適応には条件(身体サイズ、骨格形成終了後)があることに加え、個体適合性による手術の可不可があり、合併症のリスクも一定程度あります。
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THRの適応は8カ月齢以上の中型犬、大型犬および小型犬です。
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大腿骨: 損傷している大腿骨頭を切断し、骨幹にドリルで孔を開けます。
骨盤: 寛骨臼にカップを設置できるように削ります。
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ステムの挿入、ヘッドの取付、カップの設置で人工股関節への全置換~股関節の機能を再現~となります。
○利点:術後の機能回復が非常に早い
△欠点:人工関節の個体適合性等により手術の可不可がある、再脱臼、ルースニング、骨折などの合併症のリスク